5/30 派遣

私はもうかれこれ10年以上CADに関わっている。
ちなみにCADとはComputer Aided Design の略でコンピューターで設計図面などを作成するソフトのこと。有名どころだけでも10種を越える。

ひと昔前、体力の限界を感じて保母(現:保育士)の職を辞した。
他に何も学んでこなかったので、年俸や保障面では正社員よりキビシイが、すぐにお給料がもらえる(会社によって異なるが、そのときは半月毎締めの月二回入金)のがかなり魅力的な某派遣会社に登録した。
これで仕事さえ見つかれば、寮を出されても東京でのひとり暮らしを続けられる。

まだアキラメキレナイ夢と意地があった。だから実家に戻ること、まして永久就職なんて…考えもしなかった。
それで、余計に切羽詰まっていた。(^^; 
短大卒女子には、東京の毎月の家賃はハンパな気持ちじゃ払えない。
そんな中、派遣先でお世話になった課長さんのヒトコト。

『世の中にはね、CADオペレーターという仕事があって、その多くが女性。
派遣の中でも時給が高い花形なんだ。ちょっとさわってみる?』 

ちょうどその年、その会社では大型CADの導入を決めたのだ。

時代はバブルの終わりごろ。OA事務で入った部署。
2人では大変なので、と採用された要員。3人だとちょっとヒマ…なくらい。
躰が悲鳴をあげるほどハードだった生活を経た保母あがりの私には、
内容に比べて時給が高く…申し訳ないような気がした。(^^;
ただの貧乏性?

『はい、やります!』

即答。(*^^*)
お絵描きは好きな方だったし、何メートルにも伸びる直線や正五角形、接線など、
人の手ではまず上手く描けないような複雑な図形さえ、キーボードとマウス操作でいとも容易く作図してゆくCAD。
まるで夢か素敵な魔法のようで楽しく・・・当時の私には渡りに舟だった。

小さなチャンスをもっらったあの日からちょうど12年。

今月、某ゼネコンにインストラクターとしておじゃました。
派遣は1年ぶりだ。
私も30代になって、ようやくヒトの役に立てるようになった。(^^ゞ

さまざまな設備が向上して、CADも恐ろしい速度で普及した。
あの頃まるで『特殊技能』のようだった技術は、今や『読み書きソロバン』状態。

真剣に前向きに初めてCADを触る方たちに、心いっぱいエールを贈る。
『がんばれっ!』

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